あなたのお子さんが虫歯になったら、どうしますか?
乳歯は虫歯の進行が早いため、怪しいなと思ったら歯科医院を受診し治療しましょう。
乳歯は生え変わるから…と思うかもしれませんが、放置すると永久歯に影響するケースも。
この記事では、具体的な子どもの虫歯治療についてお伝えしています。
現役歯科衛生士である私が、虫歯になりやすいところと磨き方のポイントも紹介していきます。
大事なお子さんの歯を守れるように、一緒に勉強していきましょう♪
乳歯が虫歯になったら治療するべき3つの理由
乳歯が虫歯になったら、放っておかずに早めに治療しましょう。
乳歯ってそのうち生え変わるし、そのままじゃダメなの?
乳歯の虫歯にも治療が必要な理由は3つあります。
乳歯は、永久歯に比べて歯の表層であるエナメル質が薄いため、虫歯になると進行が早いのが特徴。
痛がっていないからと後回しにすると、知らないうちに進行します。
初期の虫歯であれば、薬を塗って様子をみたり、少し削って詰めたりと簡単な治療で済みます。
逆に、虫歯のまま放置すると、後から生えてくる永久歯に影響を与えることもあるのです。
個人差はありますが、12歳前後までと意外に長く使う乳歯。
虫歯にならないのが理想ですが、治療するとしたら何歳ぐらいから可能なのでしょうか?
乳歯の虫歯治療は何歳からできる?
実際、虫歯の治療ができるようになるのは、3歳前後と言われています。
3歳前後になると、治療に必要な行動を取れるからです。
- 歯科医やスタッフと意思疎通でき、話す内容を理解できる
- 治療用チェアに座り、口を開けたままでいられる
実際、私も歯科医院で働いていて、子どもの治療に携わりますが、この年齢にはかなり個人差があります。
3歳より小さくても、お口をしっかり開けて治療できる子もいれば、逆に大きくても治療が難しい子も。
私の子どもは上の子が5歳ですが、フッ素塗布すら嫌がります…。
治療が難しい場合、無理は禁物。
「虫歯は早く治す」に越したことはありませんが、ここで無理矢理治療すると、歯科治療に対して恐怖や不安を覚え、今後の治療が難しくなってしまいます。
そして、治療ができなかったからと怒るのも良くありません。
トラウマになると、大人になっても歯科医院に行くのが嫌になってしまうのです。
じゃあ、どうしたら良いの?
まずは、歯科医院に慣れることが大切です。
例えば、治療用チェアに座る練習やお口を開ける練習。
慣れてきたら、治療に使う器具を入れる練習と段階を経て、実際の治療に入ります。
治療には、不安がつきもの。
大人でも慣れない治療には、不安を感じますよね?
そんな気持ちを汲んで、できた事を褒めてあげましょう。
子どもには、一人一人個性があり成長のスピードもさまざま。
成長のスピードに合わせることも大切です。
虫歯の症状別に治療の流れを解説!
虫歯の治療は、症状によって5段階に分けられます。
初期の虫歯(Co)
初期の虫歯の場合は、丁寧な歯磨きやフッ素塗布をして経過を見ることが多いです。
初期の虫歯は、歯の表面が白く濁った色をしていたり、噛み合わせの面が茶色く着色した状態で、歯の表面には穴が空いていない状態です。
口の中の酸によって歯の表面が溶かされた状態で、再石灰化する可能性が高いため、すぐに削って治療しないことが多いんですよ。
再石灰化:溶かされた歯の表面のカルシウムがリン酸が唾液の働きにより再度歯に戻ること
その他に、食習慣の見直しも大切です。
ジュースは水やお茶に変える、お菓子のだらだら食べを止めるなど、砂糖(酸)と触れる時間が少なくなるように意識しましょう。
しっかり噛んで食べることも、唾液の分泌量を増やすのでおすすめです。
歯磨きの際に、フッ素が配合された歯磨き粉を使うのも効果がありますよ。
エナメル質の虫歯(C1)
歯の表層であるエナメル質の虫歯は、虫歯を削り白いプラスチックを詰めて治します。
エナメル質の虫歯はまだ軽度であり、痛みを伴わないことが多いです。
1回の治療で終わり、治療後はすぐに食事することもできます。
しっかり口を開けていられるお子さんなら、比較的短時間で治療が終わりますよ。
象牙質まで進行した虫歯(C2)
象牙質まで進行した虫歯は、虫歯を削りプラスチックを詰めたり、型採りして詰め物を入れたりします。
エナメル質にできた虫歯も、時間が経つと徐々に進行します。
エナメル質の次の層である象牙質に虫歯が進行すると、「冷たいものでしみる」などの症状が出ることも。
虫歯の範囲や深さによって、プラスチックを詰めたり、金属の詰め物を入れるのが一般的です。
年齢の小さいお子さんは、型採りをしたり金属を入れたりするのは、難しいでしょう。
その場合は多少詰める範囲が大きくても、エナメル質の虫歯同様にプラスチックの詰め物をするケースが多いです。
神経まで進行した虫歯(C3)
虫歯が神経まで進行した場合、麻酔を使い歯の神経を取り、根の中の消毒治療を行います。
象牙質まで進行した虫歯がさらに進行すると、歯の中の神経に達してしまいます。
神経まで達した虫歯は、痛みが強いのが特徴です。
神経まで虫歯が進行した場合、治療には麻酔を使います。
麻酔を使うとなると、お子さんの負担も大きくなりますよね。
ここまで進行する前に早期発見・早期治療してあげたいところです。
根の消毒治療は数回にわたり繰り返し行い、根の中の消毒が終わると詰め物をして治療が終わります。
麻酔を使うのは最初の1回だけですが、通院が必要になるのがこの治療の特徴です。
歯が崩壊している虫歯(C4)
虫歯により歯が崩壊し、根だけ残っている場合は、基本的には抜歯することが多いです。
ここまで虫歯が進行すると痛みを感じないこともありますが、同じ保護者として、歯科衛生士として、この状態になる前に受診してほしい…と思ってしまいます。
この場合、年齢や永久歯の生え替わり時期を考慮して、抜歯するかどうかを検討します。
永久歯が生えてくるまでにまだ時間がかかるようなら、抜かずに残すケースも。
なぜなら、抜歯すると隣の歯が移動してしまい、永久歯の生えるスペースが少なくなるからです。
どうしても抜歯しなければならない場合、「保隙装置」というスペースを確保する装置を入れることもあります。
治療を受けられなかった場合はどうする?
お子さんが小さく治療が難しい場合、虫歯の進行止めの薬を塗って様子を見ることがあります。
治療はした方が良いですが、無理に押さえつけて治療をすると歯科恐怖症になってしまうことがあります。
虫歯の進行止めの薬は、虫歯と反応すると黒くなってしまうところがデメリット。
ですが、治療ができるようになれば、虫歯を削り白く詰めて治すことが可能です。
私が勤める歯科では、どうしても治療が必要なケースでは抑制具(レストレーナー)を使用することもありますが、あくまでもお子さんの様子や虫歯の状態を考慮しています。
虫歯は風邪のように、自然に治るものではありません。
できるだけ虫歯にならないように日々の歯磨きに気を付けること、虫歯になった場合、早期発見・早期治療ができるように定期的な検診を受けるようにしましょう。
虫歯になりやすい所と磨き方のポイントを紹介
虫歯になりやすい場所は3箇所あるので、歯磨きの際に注意して磨くようにしましょう。
お子さんが小さいうちは、仕上げ磨きは必須です。
1〜2歳くらいは嫌がって大変かもしれませんが、頑張って磨きましょう。
場所ごとに磨き方のポイントも紹介します。
奥歯
奥歯の中でも虫歯になりやすい部分は、噛み合わせの面・歯と歯の間・表側の溝です。
奥歯って見にくくて、ちゃんと磨けているか心配…。
特に上の奥歯は見にくいですよね。
見にくい所は磨き残ししやすいので、注意しましょう。
1番奥の歯は磨き残ししやすいので、奥から手前へとブラシを動かしましょう。
デンタルフロスは、嫌がる子もいるかもしれません。
難しい場合は、奥歯の間だけでも通せると良いですね。
持ち手の付いたY字型のものもあるので、使ってみてください。
奥歯の表側には溝があり、意外に虫歯になりやすい所ですので、忘れずに磨きましょう。
上の前歯
上の前歯は、表側だけでなく裏側も虫歯になりやすい所。
前歯って磨きやすいし、虫歯にならないイメージだけど?
意外に虫歯になりやすい前歯。
特にジュースなどの甘い飲み物を好むお子さんは、注意しましょう。
なぜなら、コップやストローで飲むため、前歯に糖質が付きやすいからです。
表側を磨くときは、大きく動かすと歯の表面が摩耗しやすく、汚れも残りやすくなります。
軽い力で小刻みに動かしましょう。
裏側は、歯ブラシのかかとを使い、1本ずつ縦に動かして磨きます。
前歯の裏側には窪みがあるので、かかとを使うことでしっかり汚れが落とせますよ。
歯と歯茎の境目
歯と歯茎の境目は、汚れが溜まりやすく虫歯になりやすいところです。
歯と歯茎の境目は、歯ブラシが当たると痛がるお子さんもいます。
汚れが残ったままになると、虫歯だけでなく歯肉炎も起こすので注意しましょう。
強く当てると痛がることもありますので、歯茎をマッサージしてあげる様に優しい力で磨きましょう。
歯ブラシの毛が柔らかいものを使ってあげると、磨きやすいですよ。
虫歯の原因については、こちらの記事もチェックしてくださいね♪
まとめ
- 乳歯は虫歯になると進行が早いため、放っておかずに早めに治療する
- 虫歯の治療ができるようになる年齢は、3歳前後だが個人差が大きい
- 初期の虫歯は、丁寧な歯磨きやフッ素塗布をして経過を見ることが多い
- エナメル質や象牙質の虫歯は、虫歯を削り白いプラスチックを詰めたり、金属の詰め物を入れる治療を行う
- 虫歯が神経まで進行した場合、麻酔を行い歯の神経を取り根の中の消毒治療を行う
- 虫歯により歯が崩壊し、根だけ残っている場合は、永久歯の萌出状態を見て抜歯するか決める
- 治療が難しい場合、虫歯の進行止めの薬を塗って様子を見ることがある
- 虫歯になりやすい場所は、奥歯・歯と歯の間・歯と歯茎の境目の3箇所
今回は虫歯になった場合の治療についてお伝えしました。
子どもが小さいうちは、自分で磨けません。
保護者であるあなたも、仕上げ磨きの練習が大事です。
できるだけ乳歯を虫歯にしないように、定期検診やフッ素塗布も大事なので最低でも半年に1回は歯科医院を受診したいですね。
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